Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せとうちのこざかなたち

瀬戸内の小魚たち

壺井 栄

Lesen Sie 瀬戸内の小魚たち (せとうちのこざかなたち) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.241 Zeichen · 5 Bildschirme

Aozora Bunko

とにかくまあ、こんな小魚が大衆魚というところだろうか。みんな春から夏がしゅんの魚たちである。

夏といえば、チヌ(黒鯛)や太刀魚の夜釣りも忘れられない。チヌは糠団子で、桟橋の上からでも釣れるが、太刀魚のほうは少々めんどうである。両方とも闇夜がよい。今夜釣りにいこうということになると、まず朝から磯みみずを掘りにいく。そのみみずをえさにして昼間のうちにベラを釣りにいく。ベラという魚は五色のうろこで身をかざっているような美しい小魚だが、これはまずい。しかし、太刀魚のえさには欠くことができない。そのベラを生簀にいれて出かけるのだ。それを料りながら、生き身を釣針につける。生き身でないと太刀魚は食わない。その餌をつけた釣竿を五本も八本も舟べりへもたせかけておいてゆっくりと闇の海をこいでゆく。釣り竿の先きには鈴がついていて、えものがかかるとチャラチャラと鳴る。手ぐすねひいて待っている漁人は、それっとばかりぐいっ! と糸をひく。手ごたえあって糸を繰ると、まったくその名のとおり太刀のようなのが闇にひらめいて大あばれにあばれる。調子のよいときはあっちの鈴も鳴り出す、こっちの鈴も鳴り出すで、大忙しだ。