Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのついたかかと
火のついた踵
宮本 百合子
Lesen Sie 火のついた踵 (ひのついたかかと) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.781 Zeichen · 34 Bildschirme
考えて見たら、誰にでも解るじゃあないか。
みさ子 (思いがけず。却って落付き)聞いていらしったの?――却ってよかったわ。でも――立ち聞きをなさるなんて――(消え入るように)何て方でしょうね。
奥平 英一君に聞いたのだ。
みさ子 (はっきりと侮蔑を感じ)あの人が? 何て云ったの?
奥平 そんなことを、今ここで再び繰返す必要はない。ただ――私は――僅かの間でも、あなたの良人であったことを気の毒に思うよ。適当な人間ではなかったのだ。少くとも、あなたの悦ぶ男ではなかったのだ。然し(刺すように)誰一人私にそのことを知らせてくれる者はなかった!
みさ子 (蒼くなり、良人の手を掴み)貴方! 後生だから、その変な、貴方の頭にあるものを棄てて頂戴! ひどい思い違いをしていらっしゃるわ。何ていうことだろう。私は、これっぽっちだって、谷さんなんか愛していやしなくってよ。
奥平 (疑い深く)どうしてそれが断言出来る? 自分が侮蔑し、価値を感じないものに、あなたは自分の苦痛を訴えるか? 下男に泣言が云えるか? 自分が、より好意を感じている者に対してでなければ、人間は、決して自分の弱点は示さないものなのだ。