Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのとり
火の鳥
Lesen Sie 火の鳥 (ひのとり) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.740 Zeichen · 76 Bildschirme
」
その言葉が、助七を撃った。
「ああ、それはいい。」貧苦より身を起し、いままで十年間、こんな純粋の響の言葉を、聞いたことがなかった。「おれは、ことし二十八だよ。十七のとしから給仕をして、人を疑うことばかり覚えて来た。君たちは、いいなあ。」絶句した。
「ポオズですよ、僕たちは。」青年の左の眼は、不眠のために充血していた。「でも、ポオズの奥にも、いのちは在る。冷い気取りは、最高の愛情だ。僕は、須々木さんを見て、いつも、それを感じていました。」
「おれだって、いのちの糧を持っている。」
低くそう言って、へんに親しげに青年の顔をしげしげ眺めた。
「存じて居ります。」
「一言もない。おれは、もともと賤民さ。たかだか一個の肉体を、肉体だけを、」言いかけてふっと口を噤み、それからぐっと上半身を乗り出させて、「あなたは、あの女を、どう思いますか?」
「気の毒な人だと思っています。」用意していたのではないかと思われるほど、涼しく答えた。
「それだけですか? いや、ここだけの話ですけれども、ね。奇妙な、何か、感じませんか?」
青年は、顔をあからめた。
「それごらん。」助七は、下唇を突き出し、にやと笑った。