Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひのとり

火の鳥

太宰 治

Lesen Sie 火の鳥 (ひのとり) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.740 Zeichen · 76 Bildschirme

Aozora Bunko

どんなに、きれいだろう。それを、あたしは、ものかげにかくれて、誰にも知られずに、そっとおがんで、うれしいだろうなあ。女の、一ばん深いよろこびというものは、そんなところにあるのではないのかしら。そう思われて仕方がない。」

「わるくないね。」数枝も、耳を傾けた。「参考になる。」

さちよは、一息ついて、

「それを、男ったら、ひとがいいのねえ。だれもかれも、みんな、お坊ちゃんよ。お金と、肉体だけが、女のよろこびだと、どこから聞いて来たのか、ひとりできめてしまって、おかげで自分が、ずいぶんあくせく無理をして、女のほうでは、男のそんなひとりぎめを、ぶちこわすのが気の毒で、いじらしさに負けてしまうのね。だまって虚栄と、肉体の本能と二つだけのような顔をしてあげてやっているのに、そうすると、いよいよ男は悟り顔してそれにきめてしまうもんだから、すこし、おかしいわ。女のひとは、誰でも、男のひとを尊敬しているし、なにかしてあげたいと一心に思いつめているのに、ちっともそんなことに気がつかないで、ただ、あなたを幸福にできるとか、できないとか言っては、お金持ちのふりをしたり、それから、――おかしいわ、自信たっぷりで、へんなことするんだもの。