Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのとり
火の鳥
Lesen Sie 火の鳥 (ひのとり) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.740 Zeichen · 76 Bildschirme
」
「きょうは、また、」青年は、美しい顔に泣きべその表情を浮べて、「へんですね。」
「ううん。」乙彦も、幼くかぶりを横に振って、「それでいいのだ。僕の真似なんかしちゃ、いけないよ。君は、君自身の誇りを、もっと高く持っていていい人だ。それに価する人だ。」
十九のさちよは、うやうやしく青年のさかずきに、なみなみと酒をついだ。
「じゃ出よう。これで、おわかれだ。」
その料亭のまえで、わかれた。青年はズボンに両手をつっ込み、秋風の中に淋しそうに立って二人を見送っていた。
ふたり切りになると、
「あなた、死ぬのね。」
「わかるか。」乙彦は、幽かに笑った。
「ええ。あたしは、不幸ね。」やっと見つけたと思ったら、もうこの人は、この世のものでは、なかった。
「あたし、くだらないこと言ってもいい?」
「なんだ。」
「生きていて呉れない? あたし、なんでもするわ。どんな苦しいことでも、こらえる。」
「だめなんだ。」
「そう。」このひとと一緒に死のう。あたしは、一夜、幸福を見たのだ。「あたし、つまらないこと言ったわね。軽蔑する?」
「尊敬する。」ゆっくり答えて、乙彦の眼に、涙が光った。
その夜、二人は、帝国ホテルの部屋で、薬品をのんだ。