Japanische Klassiker mit Furigana
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はいかぐら
灰神楽
江戸川 乱歩
Lesen Sie 灰神楽 (はいかぐら) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.262 Zeichen · 27 Bildschirme
座敷に通ったかと思うともう暇を告げていた。そして今度はどこという当もなく、フラフラと街から街を彷徨った。どこまで逃げても、たった五尺の身体を隠す場所がなかった。
日の暮れがたになって、ヘトヘトに疲れ切った庄太郎は、やっぱり自分の宿へ帰る外はなかった。宿の主婦は僅一日の間に、大病人の様に痩せ衰えた彼を、不思議相に眺めた。そして、狂者の様な彼の目つきにおずおずしながら一枚の名刺を差出した。その名刺の主が彼の不在中に訪ねて来たというのだ。そこには「○○警察署刑事 ○○○○」と印刷されてあった。
「アア刑事ですね、僕の所へ刑事が訪ねて来るなんて、こいつは大笑いですね、ハハ……」
思わずそんな無意味な言葉が彼の口をついて出た。彼はそうしてゲラゲラと笑い出した。だが口丈は馬鹿笑いをしていても、彼の顔つきは少しもおかし相には見えなかった。その異様な態度が更に主婦を驚かせた。
その晩おそくまで、彼は殆ど放心状態でいた。考えようにも考える事がない様な、或は余りにありすぎて、どれを考えていいのか分らない様な、一種異様の気持であった。が、やがて、いつもの、「夜の楽観」が、彼を訪れた。