Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はいいろのきおく
灰色の記憶
久坂 葉子
Lesen Sie 灰色の記憶 (はいいろのきおく) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.588 Zeichen · 132 Bildschirme
プロローグ
プロローグ
私は、いろんなものを持っている。
そのいろんなものは、私を苦しめるために活躍した。私の眼は、世間や自然をみて、私をかなしませた。私の手足も徒労にすぎないことばかりを行って、私をがっかりさせた。考えるという働きも、私を恐怖の淵につれてゆき、さかんに燃えたり、或いは、静寂になったりする感情も、私をつかれさせただけである。
しかし、その中でたった一つ、私は忘却というものが、私を苦しめないでいたことに気がついた。忘却が私を生かしてくれていたのだ。そして私は、まがりくねった道を、ある時は、向う見ずにつっ走り、ある時は、うつむきながらとぼとぼあるいて来た。それなのに、突然今日、私はふりむくことをした。何故だろうか。もやもやした煙で一ぱいの中から、わざわざたどって来た道を見付け出さないでは居られない衝動にかられた。つまり、記憶を呼び戻そうとするのである。忘却というものを捨てようとしているのである。忘却を失ったら私は生きてゆけないというのに。
私は、死という文字が私の頭にひらめいたのを見逃さなかった。飛行機にのって、さて自爆しようという時に、一瞬に、過ぎ去った思い出が、ずらずらと並べたてられるのだ、ということを、私は度々人から聞いたことがある。