Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

Lesen Sie 灰色の記憶 (はいいろのきおく) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.588 Zeichen · 132 Bildschirme

Aozora Bunko

お金をもらうことと、人に物を与えることの喜びが、このころの生活の張合いでもあったわけなのだ。

そのうち、丸坊主の大岡少年が私にとりわけ親切にしてくれるのに気がついた。度々、お使いの行きかえりに偶然会ったり、夕立がすぎるまで他所の軒先で並んで一こと二こと喋ったりすることがあった。大岡少年は顔中吹出物だらけの田舎者であった。ある日、倉庫の地下室を他の少年達もまじえて整理をしていた。五時をまわっており、埃と湿気と布地の中のかびくさい臭いとの中で、品物をまとめたり片附けたり、藁くずを一ぱいかぶりながら働いていた。大岡少年は梯子の上にのっかり、私は下から彼の手へ、小さな包みを手渡していた。彼の両脚に濃い毛がまいており、ぞうりをつっかけた素足の指の爪は真くろに垢がたまっていた。

よいしょ。よいしょ。と云いながら、その呼吸とかけ声が、私の頭上にいきおいよく感じるのを、半分うっとりしながらきいていた。彼のランニングシャツはうすねずみ色に汗と垢がしみついており、体を伸ばす度に、たくましい皮膚と脊柱がみえた。荷物の受け渡しに手先がふれ合った。ガサガサした固い指で、やはり爪垢が一ぱいたまっていた。