Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

Lesen Sie 灰色の記憶 (はいいろのきおく) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.588 Zeichen · 132 Bildschirme

Aozora Bunko

私は彼の字もみたいと思った。で、ノオトを一冊出した。四角い字で読方の下しらべがしてあった。私は、一番字のつまっている頁を一枚破って四角くたたむと又ポケットへしまいこんだ。その時、誰かはいって来る人の足音をきいた。私は、胸がじんじん鳴るのを感じながら机と机の間に身を低めた。それは、学校中で一番恐しい彼の担任の先生であった。彼は、先生の大きな机に着くと、何か調べ物をはじめた。進退窮まって、私はじっとしていなければならなかった。しかし、彼の調べ物の分量は随分多いようだった。屹度、生徒が運動場からもどって来るまでここに居るのだ。私は不安な気持がまして来た。私は、決死の覚悟でそろそろ歩み出した。机や椅子にあたらぬように身をかがめて這うように戸口に近づいた。先生は、むつかしい顔をして赤鉛筆で何か記入していた。私はやっと、先生のところから一番遠い距離の、後側の扉の下へ来た。ドアは閉っていた。私は又思案にくれた。が、いきなりたつと同時にドアをあけ、さっと廊下へ出ると一目散に階段のまがり角まで来た。

「誰だ」

という怒号をきいた。その時は、私はすでに階下に近いところへ飛んで降りて来ていた。