Japanische Klassiker mit Furigana
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はいいろのきおく
灰色の記憶
久坂 葉子
Lesen Sie 灰色の記憶 (はいいろのきおく) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.588 Zeichen · 132 Bildschirme
廊下を走ることも私がやってのけた。はいったらいけないと云われている、父の書斎や客間にねそべることもした。元気をとりもどした私は、手あたり次第に事件を起すことを好んだ。その時分から、平凡な退屈な生活が堪えられない苦痛であったのだろうか。
椅子の上に立ち上ってみたり、マントルピースの上の石像をさわってみたり、階段の手すりを持たないであがり降りしようとしたりした。けれども私は、粘りっこい根気がなかったから、出来ないとなるとすぐ又他のことに手をつけた。
しかし斯うした生活は長くつづかなかった。というのは、私は大人をしん底からうらみ、決してだまされはしまいぞ、という警戒心が起ったからである。その日から、私は、むっつりとした陰気な子になってしまった。
ある日、それはたしか晴れていただろう。母と女中の手にひかれて、K百貨店へはじめてお買物のお供をさせられた。私は珍らしげに、いろんな形や色をみた。母は何を買ったのかわからなかったが、そのうち私は、洋服地の売場へお供した。と、すぐ目の前に大きな人形がくるくるとまわっている。私はすっかりそれに魅了されて、その前にじっと棒立になっていた。