Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ほのおのなかにうたう

焔の中に歌う

野村 胡堂

Lesen Sie 焔の中に歌う (ほのおのなかにうたう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.476 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

自動車に擽かれたという記憶が蘇えると同時に、深井少年は本能的に身体を動かして見ました。何んとも言えない不安が、少年を駆ってそうさしたのです。けれども、仕合せな事に、手も、足も、頭も、胴も、別に痛むところはありません。

「マアそんなに手足を動かして、亀の子のようよ――、でも何処もお痛みはありません? 一寸立って御覧なさいな――マア、大きな坊っちゃん」

深井少年は長椅子から飛降りるように、すっくと立上って見ました。

この婦人は無遠慮に「坊っちゃん、坊っちゃん」と言いますが、深井少年は今年からもう大学生なのです。

尤も顔立が何んとなく若々しいから、友達はからかい半分に「深井少年、深井少年」と言い慣わして居りますが、本当は深井清一といって、もう取って二十歳、深井少年と言われるのさえいい心持がしないのに「いくら何んでも、坊っちゃんはヒドかろう」深井少年は少しムッとしたものです。

「僕、深井清一というんです」

「あら御免なさいネ、ツイあんまり可愛らしかったんで、そう言ってしまったんです、そうお立ちになると、全く立派な大学生さんだワ、坊っちゃんなんて、すまないワネ」