Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ほのおのなかにうたう
焔の中に歌う
野村 胡堂
Lesen Sie 焔の中に歌う (ほのおのなかにうたう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.476 Zeichen · 27 Bildschirme
か細い手が、チョコレート色の壜にかかるのを止めて、
「あれは何んでしょう」
コップを卓の中ほどに押しやって、照れ隠しともなく、深井少年は斯う聞き耳を立てました。
窓の下のあたりから、不意に、かなり節奏の巧みな、ハーモニカの音がして来たのです。
「ホッホホホ、気がお付きになって、カルメンの節奏曲よ、今にハバネラが始まるワ、そして、私にも歌えというんです」
「あなたに?」
「ええ、素晴らしい伴奏でしょう、私がどうかして歌ってやらないと、何遍でも何遍でも窓下を往ったり来たり、往ったり来たり、日が暮れたって、夜が更けたって動きやしません」
「何んです、それは、不良少年ですか、僕が行って追っ払って来ましょうか」
「イエ、そんな厭なものじゃありません、あれでも私の大事なお友達よ、パトロンでも、崇拝者でもあるワ、追っ払ったりなんかしては失礼よ」
「あなたのパトロンが、ハーモニカを?」
「エ、エ、まあ、暫らく聞いていらっしゃい、私が歌ってやらないと、今度はセキエデラを吹くワ、その次はジプシー・ソング、その次は……それネ、ハバネラが始まったでしょう」
「どうしたんです、ハーモニカの伴奏で、あなたに歌わせるのは、失礼じゃありませんか」