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Japanische Klassiker mit Furigana

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むめいさっかのにっき

無名作家の日記

菊池 寛

Lesen Sie 無名作家の日記 (むめいさっかのにっき) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.441 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

文学志望を廃したのかといえば、そうでもない。現に文科にいて、文壇に出る機会を待っている。が、その機会はこの人に容易に与えられそうもない。話してみると、吉野君も猛烈に焦っている。が、あの人が、「僕だって、これでも新進作家といわれたことがあるんだからな」といった時には、俺は少し淋しい気がした。吉野君は、昔の夢をよほど誇張しているのだ。なんでもあの頃、「文学世界」の当選小説ばかりをあつめた短篇集が世に出たことがある。その標題に、新進作家という肩書きが付いていたように記憶する。が、投書家として栄えたことを、一かどの作家でもあったように幻想して、楽しんでいる吉野君に対して、俺は気の毒のような淋しいような気がした。しかし、俺は吉野君に会ってから、なんだか頼もしいように思い出した。少年時代に十分な才華を輝かしたあの人が、また少しも出られないでいる。それを思うと、俺は少し安心した。

が、この大学の文科の連中は、どうしてああ揃いも揃って救われない人間ばかりが集まっているのだろう。ことに俺のクラスのやつらはひどい。広島の高師を出てきたという男は、昨日教師が黒板に書いた仏の詩人ボードレールの名を、バウデレアとドイツ読みにして、得々としていやがった。