Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
むめいさっかのにっき
無名作家の日記
菊池 寛
Lesen Sie 無名作家の日記 (むめいさっかのにっき) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.441 Zeichen · 43 Bildschirme
少なくとも江戸っ子には書けるね」と江戸っ子たる吉野君は昂然としていった。俺の良心は、吉野君のいっていることに、全然反対した。が、俺の感情は吉野君のいったことに満幅の賛意を表した。
「桑田君の『闖入者』もあまりよくないね。古い! まるで、自然主義から一歩も出ていないのだ」
俺は段々心強くなった。俺は、今日ほど吉野君を尊敬したことはなかった。吉野君は、最後にこんなことを付け加えた。
「要するに高等学校の雑誌に、少し毛が生えた程度のものだよ。あれで、文壇に出ようと思っているのは、少し虫が良すぎるね。やっぱり、同人雑誌なんかに、いくら書いてもだめだよ。相当位置のある雑誌で、発表しなければだめだよ」と、吉野君は最後に自分の持論を繰り返した。俺は、吉野君の辛辣な批評をきいて、救われたような心持ちになった。
が、吉野君が帰ってしまうと、俺はまた淋しい心持ちに襲われた。見ると、吉野君に散々叩かれた雑誌「×××」は、洋灯の暗い光のうちに放り出されてある。俺は、創作は黄金だといった山野の言葉を思い出した。そして、たとい小雑誌にせよ、活字になっている以上は、それはもう立派に完成された表現の形式である。