Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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むもうだん

無毛談

坂口 安吾

Lesen Sie 無毛談 (むもうだん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.319 Zeichen · 17 Bildschirme

Aozora Bunko

そのうえ、私は良い人だとくる。これ又、奇々怪々。

これを娘心の謎というか。私はよい気持である。だから、妹は私を見ると、ふくれるばかり、しばらくは全然話を交そうともしない。

しばらく日数がすぎて、妹の気持もまぎれたころだ。

世間話のうちに、ふと、おトンちゃんのことを思いだして、

「あの子、おかしいのよ」

「なにが」

「あの子はね、新聞や雑誌の広告を見て、いろんな毛はえ薬を買っていたのよ。奈良だの、大阪だの、姫路だの、岡山だのと、方々のね。小包がくるでしょう。すぐ隠して持ち去るでしょう。あんまり様子が変だから、あの子の留守にお部屋を調べてみたのです。荷物の底へ、同じような毛はえ薬がたくさん隠してあるでしょう」

妹は、たまらなくなって、腹をかゝえて笑いころげてしまった。

つまり、おトンちゃんは、あるべきところに毛がなかったのである。

残酷にも毛はえ薬の秘密をあばいた妹をどんなに憎んだか、おトンちゃんの踏みつぶされた逆上自卑は悲痛である。

タシナミなく腹をかゝえてゲタゲタ笑う妹であるから、おトンちゃんと毛はえ薬を前にして、その時もゲタゲタ笑いくずれたに相違ない。