Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
むほうもの
無法者
豊島 与志雄
Lesen Sie 無法者 (むほうもの) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.837 Zeichen · 24 Bildschirme
」
「え、フグ茶……ですって。」
「フグの茶漬けですよ。鯛の茶漬け、鯛茶、御存じでしょう。あの鯛を、フグでゆくんです。これは天下の美味で、一度食べたら病みつきになりますよ。」
「わたくし、初めて聞きましたわ。」
「どこででも食べられるというわけにはいきません。僕の知ってる家だけです。たらふく飲んで、たらふく食って……便利なことには、そこは割烹旅館になってるものですから、僕はたいてい泊ってくるんです。お宜しかったら、こんど御案内しましょう。もっとも、お泊りになろうと、お帰りになろうと、それはあなたの御自由です。」
前屈みに相手の方へ顔を寄せて、志村は囁くように小声で話すのだが、あたりに人がいることだし、二人だけの内緒話というわけにはゆかなかった。それになお、志村は内緒話のつもりでもないらしく、小声とはいえ、隣席の者の耳にはいる程度の調子を保っていた。
相手の見境はなかった。人妻であろうと、未亡人であろうと、独身者であろうと、構わなかった。ただ、こういう席に若い令嬢は殆んどいなかった。
連れ込み専門の家ではないとしても、とにかく割烹旅館、志村がよく泊ってくるという家に、婦人を誘ってフグ茶を食いに行くとは、いささか穏当ではなかった。