Japanische Klassiker mit Furigana
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むだい(に)
無題(二)
宮本 百合子
Lesen Sie 無題(二) (むだい(に)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.471 Zeichen · 5 Bildschirme
文壇にかなり知られて居る或る文学者は、
「文学をするなんて云うのも仕事が割合にやさしいと云う事からでより以上にたやすくて仕事があるんならその方に行く」
と云ったのを聞いた事がある。
こんな言葉は人間の中にたった一人の人が云ったことではないけれ共私は眉をひそめてつばをはきかけてやりたい様にさえ思う。何と云う人間らしくない事だろう!
どうしてそんないくじなしなんだろう!
まっかになってげんこをにぎるつぎには、「どうしてまあそんなに私の愛して居る芸術を馬鹿にしてどろっ手でかき廻して呉れるんだい?」
涙をこぼして足元を見ながら云う沈ずんだ暗い気持になって来る。
もとより生活の苦しみなんかをチョンびりも知らない私が生活の波にさからっておぼれまいおぼれまいとして居る人達の心はそんなにはっきりとは分らない。
でも幾分かは分る。知っても居る。
生活の困難な世の中ではなるたけらくで人のうけもいい仕事をしたいのは人間として又あんまり体をつかう事のきらいな今の人間としては必して無理ではあるまいと思われる。
けれ共芸術にだけはそう云う思いを持って親しんではもらいたくないとどんな時にでも思って居る。