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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Lesen Sie 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.705 Zeichen · 173 Bildschirme

Aozora Bunko

」

何の話か解らないので、そばでまごまごしている番頭の与助を、振り返った佐吉、

「すこし二階でどたんばたんするかもしれねえ。お前は誰が下りて来ても、ここから一歩も出すんじゃねえぞ。いいか――由公は、どうした。」

「由公はまだ帰りませんが、御一緒じゃなかったんで。」

「先へ帰してやったんだが、どこかで引っかかって油を売ってるんだろう。――おう、大次郎さん、それじゃあひとつ二階へ乗り込みやしょうか。」

びっくりしている与助を残し、佐吉が先に立って大次郎を促し、梯子段を上がりかけたが、

「待てよ。」

と大次郎を顧みた佐吉、

「お前さんもあの出羽守もどこからどこまで寸分違わねえ服装をしているんだから、斬り合いになって動き廻られると、どっちがどっちともおいらにゃあ区別がつかなくなるに相違ない。はて、どうしたものかな。」

「合言葉を決めよう。」

大次郎の言葉に佐吉は頷いて、

「うん、そうだ。だが、その合言葉は何とする。」

「煩と呼んだら、悩と答える。どうかな?」

「煩悩か――よかろう、面白い。」

そして二人は、七年前の田万里の時代に返ったように、にっこり笑顔を見合わせたが、それも束の間で、二人はすぐ緊張した面持ちで、跫音を忍ばせて二階へ――。