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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Lesen Sie 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.705 Zeichen · 173 Bildschirme

Aozora Bunko

もはや会わぬつもりではあったが、ともに道場を出ている今は、そうまで堅く考えずともと、己れの恋を犠牲にした佐吉が懸命に仲に立って、こうして二人、恋慕流し宗七夫婦をそのままに、この大道芸は奇術駕籠の辻芸人と落ちたのだった。始めから愛しきっている、大次郎の喜びもさることながら、やっと二人一緒に暮して行ける千浪の胸のときめきは、どんなであったろう。

夢のような日のうちに、こうして江戸の町まちを、芸を売っているのだった。

大次郎のそばに、駕籠が一つ置いてある。何の変哲もない普通の駕籠だ。

大次郎は、その垂れをはぐって、中に種、仕掛けのないことを人々に見せた後、

「さあ、これへ。」

と千浪へ合図をすると、千浪は足取りも淑かに、背を屈めて、その駕籠の中へ下りる。

「さあ、こうしてこの垂れを下して――。」

そう言うと大次郎は、いま千浪と入れ違いに駕籠から取り出した三十本ほどの刀の束ねたのを地面に置いて、それと共に、駕籠の屋根から取り下ろした長い太い細引きを、見物のほうへ差し出した。

「お女中は、こうして駕籠の中にはいっておる。垂れは両方から下ろした。そこでお立ち会い、おぬしらの中から、誰でもいいから出て来て、この細引きで、この駕籠を縦横無尽、がんじ絡めに縛ってもらいたい。