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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Lesen Sie 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.705 Zeichen · 173 Bildschirme

Aozora Bunko

」

あとは、肩肘を張って口ぐちに、

「ふん、江戸の武芸者か。へん! 江戸にゃあ、武芸者と犬の糞は、箒で掃くほど転がってらあな。」

「あの若造は、娘と言い交した仲でもあるかな。それにしても、この大雨風の夜更けに、いずこへ出かけて行ったのだ。」

「そんなこたあどうでもいいや。」宿の浴衣の腕捲くりをした山路主計が、「それより、貴公たち、あのおやじにあのような扱いを受けて、黙って引っ込んでおる心算か。」

「そうだ! どうあっても娘を呼んで来て、酒の相手をさせろ!」

「うむ! 男ばかりで飲んでおっても、とんと発しない。誰か行って、ちょっと娘を引っ張って来い。」

「ぜひとも下りて来て貰わにゃ、一同の顔が立たんぞ。」

「なあに、貴公の顔なんざ、ついぞ立っていた例がねえ。いつも寝転んでやがら。」

「余計なことを言うな。おい、川島、貴様弁口が巧い。二階へ行って、娘を借りて来い。」

「よしきた。一つ、弁天様のお迎いに行くかな。」

藤屋のどてらを素膚に引っかけた川島与七郎が、いつもの、古草鞋のような不得要領な顔で、気軽に腰を上げかけると、

「湯へ行ってまいる。」

蒲団の上に突っ立って、何かぼんやり考えこんでいた出羽守が、いきなりそう言って、縁へ踏み出した。