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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Lesen Sie 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.705 Zeichen · 173 Bildschirme

Aozora Bunko

きく。打ち身、切り傷にうそのようにきく。

たいがいの金創は、三日の入浴で肉が盛り上り、五日で傷口がふさがり、七日でうす皮が張り、十日ですっぱり痛みが除れて、十五日目には跡形もなく、一月もいれば、傷あとを打っても叩いても、何の痛痒も感じないという。

ことに、二つき三月とこの猿の湯に浸かりあげれば、年どしの季候の変り目に、思い出したようにふる傷が泣くということがない。

別人のような達者なからだになって山を下りられる――と旅の者の口が披露めて、おのずから諸国へ散ったのであろう。この、幕運ようやく衰えかけて、天下なにとはなしに騒然たる時節である。肩から背へ大きく繃帯して、葛籠笠に顔を包み、山ふじの杖をつく武家すがた。賭場の喧嘩で長脇差を喰らったらしいやくざ者など、そういった物凄い手傷者が、世をはばかり気に爪さき上り、山へ、この阿弥陀沢へ、と志すのだった。

相模から登る者は山北路。

駿河路は、竹の下みちから所領、中日向とまわって、

甲斐筋は、勘治村から道士川を越える。

その誰もが、傷もつ身。世を忍ぶ面をかくして、山露をしのぐよすがのつづら笠――。

猿の湯をとりまいて、三国ヶ嶽の麓に唄ができている。