Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Lesen Sie 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 86.705 Zeichen · 173 Bildschirme
その母家――奥の書院で。
大次郎改め、二代目伴法外が、血相を変えて縁に立ちはだかり、その足もとに、眉のあとも青い若妻千浪が、泣き濡れて倒れていた。
伴法外は、片方の眼の上、顎、頬、額と、その他顔じゅういたるところに大きな傷を負って、傷口はもはやふさがっているとはいうものの、昔日の美青年の面影はすこしもなく、じつに、見る人をしてぞっとさせる、恐ろしい顔つきである。
顔とともに、その性格も一変したに相違ない。この日ごろ、ことごとに荒あらしい言葉を吐いて、やさしい千浪を苦しめ、苛むのである。
「いやいや、何と言っても、こんな顔になった大次郎を、そちが守り通してくれようとは思われぬ。また、こんな化物が傍におっては、その方も飯がまずいであろう。私は、自決を考えておる。」
千浪は、なみだの下から、
「またしても、そのようなことを――。」
「ええいっ! 言うな。そちはわしに鏡を見せんように気を配っておるが、今こそこの顔を見てやるぞ。」
言ったかと思うと大次郎の法外、そこの縁にあった洗面の金盥を両手に取り上げ、さっそく水かがみ――。
ハッキリ映って見える恐ろしい己が形相!