Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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もゆるほお

燃ゆる頬・聖家族

堀 辰雄

Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

そうして向うの壁ぎわの隅の小さな卓子には、青色のブラウスを着て、ブロンドの髪をした十八九の娘がひとりと、それから中庭に面して一段低くなったヴェランダのようなところに卓子が二つ置いてあったけれど、その一つには、黒っぽい着物を着たふたりの女――栗色の髪をして綺麗に化粧した二十七八の若い女と老眼鏡をかけたその母親らしいのが差し向いで食事をしていた。そこのもう一方の空いた卓子が私にあてがわれたのである。食堂の時計を見ると十一時近くであった。もうこんな時刻だのに、この食堂がこんな女達ばかりなのには私はちょっと異様な気がした。私が這入ってゆくのを認めると、珈琲を飲みかけていた主人が私の方へ顔を向けて微笑みかけながら「ゆうべはよく眠れたか?」と英語で訊いた。それだけならいいが、それと同時に、他の女達が一ぺんに私の方をけげんそうにふり向いたので、私は少しどぎまぎしながら、反射的に微笑を浮べたまま、主人にうなずいて見せた。やがてこんな stranger によってちょっと中絶された会話をみんなは再び続け出したらしかった。ときどきヤポンスキイという言葉が混じる。ひょっとすると俺のことでも話しているのかしらんと思いながら、そんな空想によってかすかな気づまりを感じながら、私は食堂の窓から、半ば寝ぼけた顔つきで中庭を眺めていた。