Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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もゆるほお

燃ゆる頬・聖家族

堀 辰雄

Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

私はその前に坐りながら部屋の中を見廻した

さっきの少女の姿は何処にも見えない 念のために卓の下を覗いたが矢張り居ない

「確かにこの部屋へ這入った筈だが……」と思いながら

向うの低い竃の上に掛けてある大きな鍋の中を

何やら厭らしく掻き廻している老婆の後姿を見ているうちに

この婆は魔法使いかも知れんぞと私は疑い出した

何処かへあの可愛らしい少女を隠してしまやがった

ことによるとあの少女を何かに変形させてしまったのかも知れないぞ

としたら一体それはどれかしらん? と私はきょときょと部屋を見廻している

その時老婆が鍋の中から何やらを皿に移して運んで来た

罅の入った皿の上に鶏の足らしい骨がちょこんと載っているきりだ

「ちぇっ、こんなものを食わせやあがるのか?」と仏頂面をしていると

老婆はにやにや笑いながらソオスの壜を持ってきて

それを私の皿にぶっかけるのだ

私はさっき知ったかぶりで此奴を名ざしで這入って来たのだから

否でも応でもこいつを食わなければなるまい

私は不承々々そいつを一口頬張った 妙な味がする しかし悪くはない味だ

そこでもう一口頬張ろうとした途端に ふと

異形をして蒸気の立ちのぼっている鍋の傍の 棚の上に