Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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もゆるほお

燃ゆる頬・聖家族

堀 辰雄

Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

が次の部屋まで来て見るとやっぱりさっきの NO.5 であった。まさかお伽噺じゃあるまいし、おれが夜中に起きて便所へ行っている間におれの部屋が何処かへ消えて無くなってしまっているなんて!……そうは思ったものの、彼はしばらくの間、電燈ばかりこうこうと燿いている深夜の廊下のまん中に愚かそうに立ちすくんでいたが、ふと其処にただよっている臭いが過酸化水素の臭いだと気づくが早いか、彼は彼の部屋のドアの外側の把手には、何故だか知らないけれど、ガアゼの繃帯が巻いてあったことを突然思い出した。そうして彼は、彼が何遍もその前を往復した NO.5 の部屋のドアの把手がその通りであるのを認めた。おれはこのおれの手でさっきそれを握りながら今までこいつに気がつかなかったとは何事だい!(そこで彼は思いきってそのドアを押し開けた。)やっぱりおれの部屋だ。空っぽのおれがおれを待っている。夕方、おれがそこら中に脱ぎ棄てておいた外套や上衣や襯衣や、それから手袋や靴下のようなものまでが、みんなそれぞれにおれの姿を髣髴させている。……

彼はやっとこさ自身のベッドにもぐり込みながら、今しがたの変な錯誤をゆっくりと考え直した。