Japanische Klassiker mit Furigana
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もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme
そうしてこの別荘を立去る時、その老夫婦はこの椅子一つのためにどんなに心をなやましたことであろうか?
……それらの古びたいくつかの家具がしめやかに語りだすところの、そう云うロマンチックな物語に耳を傾けながら、それらの語り手の一人である、すこし彼には大き過ぎる寝台の上に、到底眠れそうもないと思いながら横になっているうちに、彼はいつしかすやすやと寝入った。……
夕飯のときである。彼は叔母と一しょに食堂の、それひとつあれば七八人ぐらいのお客には充分間に合いそうな、大きな円卓子につこうとして、さて、それがあんまり大き過ぎるので、何処へ坐ったらいいのかまごまごした。
「どうも具合が変だなあ……」
「すこし遠くても、向い合って坐った方がよくってよ。……でも、二人になったから、これでもまだ恰好がつくのよ。私一人のときは、ほんとうに持て余してしまった……」
彼は彼女の云うとおりに彼女と差し向いに坐った。しかし、卓子の向側とこちら側で話し合うには、よほど大きな声を出さなければ聞えないような気がした。そこで彼は食事の間だけ沈黙することにした。そのかわりに彼は食事をしながら、その食卓掛けのよく洗濯してあるけれど色がひどく剥げちょろになっているのや、アルミニウムの珈琲沸しの古くて立派だけれどその手がとれかかっていると見えて不細工に針金