Japanische Klassiker mit Furigana
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もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme
そのうち彼はこりゃ俺の方がすこしあやしいぞと思い出した。……彼はどうかした機会に、血を見ると、それが自分のであろうと、他人のであろうと、すぐ脳貧血を起してしまう癖があった。そうして今も今、彼はドロシイの白い脛に薔薇色の血が滲み出ているのを見ているうちに、どうやらそいつを起したらしいのである。彼はホテルの玄関の次第に近づいてくるのを、うるさく顔にまつわりつく蜘蛛の巣のようなものを透して、やっとのことで見分けていた。……
「ブランディ! ブランディ!」
一人の西洋人がそう叫んでいるらしいのを彼はすぐ顔の近くに聞いた。それから彼は、自分がホテルの床板の上にあおむけに倒れながら、誰かに自分の足を宙に持ち上げられているらしいことに気がついた。それと同時に甘ったるいような香水のかおりを彼は臭いだ。彼を介抱してくれているのは西洋人の夫婦らしかった。
「ブランディ!」
彼の足を持ち上げていてくれるその西洋人は、漸く意識を回復しだした彼の上にかがみながら、ボオイの持ってきたらしい琥珀色のグラスを彼の唇に押しあてた。彼はそれを一息に飲み干した。
「…………?」
彼はその親切な西洋人たちにどんな言葉で感謝を示したらいいのか分らなかったので、ただにっこりと笑って見せた。