Japanische Klassiker mit Furigana
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もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme
そこで彼はこの雑草のなかを鼻孔をひろげながら出たらめに歩き廻ってみた。なるほど、何かが特に強く匂っている。――それを嗅いでいると、なんだか気持がすうすうしてくる。おや、おれはまた脳貧血をやりそうだぞ、と彼がちょっと錯覚を起しかかったくらい、その香りは彼の発作の直前の気持を思い出させる。こいつだな、と思って彼はその香りをたよりに、その香りの生じていそうなところをむきになって捜したけれど、それが一面に茂っている雑草のどの辺であるのかすら一向に見分けがつかなかった。だが、その香りは何処かしらからますます鮮明に匂ってくる。彼はそこにぼんやり佇んだまま、何となく自分が盲目になったような感じさえ持ち出した。……
だが、彼は遂にその香りの正体を捜しあてた。彼の足が偶然にもそれを踏んづけたのである。彼の足もとには、暗緑色の細かい葉をもった草が一かたまりになって密生していた。その一つを手折って見ると、その葉は縮緬の皺のようにちぢれていて、それが目にしみるほどの強烈な光りを放っていた。何かの匂いに似ていると思ったけれど、どうしてもそれが思い出せなかった。彼はそれを叔母のところへ持って行った。