Japanische Klassiker mit Furigana
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もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme
そしてその娘の香いがまだ残っていた美しい自動車に乗ってきたのだと愉快そうに言った。
しかし彼はその自動車の中に残っていた唾のことは言わないでしまった。そうした方がいいと思ったのだった。が、それを言わないでいると、その唾が花弁のように感じられたあの時の快感がへんに鮮かにいつまでも彼の中に残っていそうな気がするのだ。こいつはいけないと思った。その時から少しずつ彼は吃るように見えた。そして彼はもう不器用にしか話せなかった。一方、そういう彼を彼女は持てあますのだった。そこでしかたがなしに彼女は言った。
「家へはいりません?」
「ええ」
しかし二人はもっと庭園の中にいたかった。けれども今の言葉がおかしなものになってしまいそうなので、二人はやっと家の中へはいろうとしたのであった。
そのとき二人は、露台の上からあたかも天使のように、彼等の方を見下ろしている彼女の母に気がついた。二人は思わず顔を赧らめながら、それをまぶしそうに見上げた。
※(アステリズム、1-12-94)
翌日、彼女たちはドライヴに彼を誘った。
自動車は夏の末近い寂しい高原の中を快い音を立てながら走った。