Japanische Klassiker mit Furigana
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もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Lesen Sie 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.309 Zeichen · 144 Bildschirme
そんなに屋根が平らで、そんなに欄干が低いのを見たとき、彼女が言った。
「ちょっとあの上を歩いてみたいようね」
夫人は、彼と一しょに下りてもらえばいいじゃないのと彼女に応えた。それを聞くと彼は無造作に屋根の上に出て行った。彼女も笑いながら彼について来た。そして二人が屋根の端まで歩いて行った時、彼はすこし不安になりだした。それは屋根のわずかな傾斜から身体の不安定が微妙に感じられるせいばかりではなかった。
その屋根の端で彼はふと彼女の手とその指環を見たのである。そして彼女が何でもなかったのに滑りそうな真似をして指環が彼の指を痛くするほど、彼の手を強く掴むかも知れないと空想した。すると彼はへんに不安になった。そして急に彼は屋根のわずかな傾斜を鋭く感じだした。
「もう行きましょう」そう彼女が言った時、彼は思わずほっとした。彼女は先に一人でバルコニイに上ってしまった。彼もそのあとから上ろうとして、バルコニイで夫人と彼女の話しあっているのを聞いた。
「何か見えて?」
「ええ、私達の運転手が、下でブランコに乗ってるのを見ちゃったのよ」
「それだけだったの?」
皿とスプウンの音が聞えてきた。