Japanische Klassiker mit Furigana
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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
Lesen Sie 爆薬の花籠 (ばくやくのはなかご) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.908 Zeichen · 204 Bildschirme
だれもいないと思った石段の上から、とつぜん一人の男が、とびだしてきたのだから。
(何者だろうかしら)
房枝は、うしろに身をひいて、ビルの壁にぴたりとよりそって、とつぜん、とびだした怪漢の顔を見定めようとする。
すると、その怪漢が、つかつかと下りてくると、房枝の手をぐっとにぎった。
「おい、房枝。にげたりすると承知しないぞ。むかしの仲間をそまつにするな。さあ、こっちへはいれ」
そういうこえに、房枝はおぼえがあった。そして闇の中にうかぶ顔を見れば、それは房枝の思ったとおり、元の座員のトラ十であったではないか。
「ああ、トラ十さんなのね」
「そうだトラ十さまだ。お久しゅうござんしたね。雷洋丸がやられたときは、あなたさんたちと、こうしてふたたび娑婆でお目にかかれようとは思っていなかったよ。ふふふ、お互さまに、悪運がつよいというわけだね。なあ黒川ニセ団長」
トラ十は、黒川のことをつかまえて、ニセ団長などと、いやなことをいった。
その黒川は、石段の端のところで、小さくなってふるえていた。
「おう、黒川ニセ団長。さっそくこっちの用事をいうが、お前、きょうここへ持って来たものを、さっさと出してしまえ」