Japanische Klassiker mit Furigana
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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
Lesen Sie 爆薬の花籠 (ばくやくのはなかご) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.908 Zeichen · 204 Bildschirme
だが、いま房枝はそんなことはどうでもよかったのだ。丸窓の外に、暮れていくものしずかな、そして大きな夕景の中に、じっと、いつまでもいつまでも、とけこんでいれば、よかったのであった。房枝にとって、それは、母のふところにだかれているような気がしてならなかった。
「あたしのお父さま、お母さま。日本へかえったら、こんどこそ、めぐりあえるでしょうね」
房枝は、唇をかすかにうごかし、小さなこえで、そういってみた。
(だめ、だめ。君の両親は、もうこの世の中に、生きてはいないのだ)
そういって、顔見知りの警官が、気の毒そうに、頭を左右にふるのが、まぼろしの中に見えた。
「まあ、やっぱり、房枝のおねがいごとは、だめなんでしょうか」
(そうとも、そうとも。もう、あきらめたまえ)
「ああ」
彼女のまぶたに、あついものが、どっとわいてきた。そして、頬のうえを、つつーッと走りおちた。目を、ぱしぱしとまたたくと、丸窓の外に、黒い太平洋は、あいかわらず、どっどっと左へ流れていた。房枝のわびしい魂はどうすることも出来ないなやみを包んで、いつまでも、波間にゆられつづける。
「うわーっ、腹がへった。