Japanische Klassiker mit Furigana
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ちちのはか
父の墓
岡本 綺堂
Lesen Sie 父の墓 (ちちのはか) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.513 Zeichen · 5 Bildschirme
第一の叔は遠く奥州の雪ふかき山に埋まれ給いしかば、その当時まだ幼稚き我は送葬の列に加わらざりしも、他の三人の叔は後れ先ちて、いずれもこの青山の草露しげき塚の主となり給いつ、その間に一人の叔母と一人の姪をも併せてここに葬りたれば、われは実に前後五度、泣いてこの墓地へ柩を送り来りしなり。人生漸く半を過ぎたるに、已に四人の叔に離れ、更に一人の叔母と姪を失いぬ。仏氏のいわゆる生者必滅の道理、今更おどろくは愚痴に似たれど、夜雨孤灯の下、飜って半生幾多の不幸を数え来れば、おのずから心細くうら寂しく、世に頼なく思わるる折もありき。されど、わが家には幸に老たる父母ありて存すれば、これに依って立ち、これに依って我意を強うしたるに、測らざりき今またその父に捨てられて、闇夜に灯火を失うの愁を来さむとは。悲い哉。
風樹の嘆は何人といえども免れ難からんも、就中われに於て最も多し。父は一度われをして医師たらしめんと謀りしが、思う所ありてこれを廃し、更に書を学ばしめたるも成らず、更に画を学ばしめたるもまた成らず、果は匙を投げて我が心の向う所に任せぬ。かくて我は何の学ぶ所もなく、何の能もなく、名もなく家もなく、瓢然たる一種の道楽息子と成果てつ、家に在ては父母を養うの資力なく、世に立ては父母を顕わすの名声なし、思えば我は実に不幸の子なり