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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちちのてちょう

父の手帳

宮本 百合子

Lesen Sie 父の手帳 (ちちのてちょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.342 Zeichen · 13 Bildschirme

Aozora Bunko

父の手帳について一番なつかしく思うのは、自分の仕事を心から好いている者としての父の姿に結びついて思い浮ぶ様々の場面です。夕飯がすんで夜の九時頃、私が自分の勉強も一休みしようと部屋から食堂に出てゆくと、質素な、別に似合うでもないどてらを着た父がテーブルの横のところに坐って帳面をひろげ、鉛筆をもって頻りにプランを描いております。草案をねるという工合のようでした。小さく、いろいろに案配をかいて、いくつも、飽きることなく描いている。母は父の横でしずかに手の先の仕事をするか本を読んでいるのでしたが、母には面白いことにエレヴェーションは分ってもプランは会得出来ませんでした。三十六年建築家の妻であったが、父より三年早く没した迄プランは駄目でした。そこで私をつかまえて、父は自分が描いているプランの一つ一つを説明し、一つよりは他の一つが改良されている点を教え、非常に想像力を刺激するリアリスティックな言葉の描写で、そこが出来上った時の有様を目に見えるように話しました。この戸からすぐ庭へ出ると、庭は芝生で、薔薇の植込みがあり、ここの石の腰架のところでは小噴水が眺められる、夏なんぞ涼しいよ。