Japanische Klassiker mit Furigana
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ちちのそうしき
父の葬式
葛西 善蔵
Lesen Sie 父の葬式 (ちちのそうしき) von 葛西 善蔵 (かさいぜんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.864 Zeichen · 12 Bildschirme
姉夫婦は義兄の知合いの家へ一晩泊って、博覧会を見物して帰るつもりで私たちより一足さきに出かけた。私たちは時間に俥で牛込の家を出た。暑い日であった。メリンスの風呂敷包みの骨壺入りの箱を膝に載せて弟の俥は先きに立った。留守は弟の細君と、私の十四の倅と、知合いから来てもらった婆さんと、昨年の十一月父が出てきて二三日して産れた弟の男の赤んぼとの四人であった。出て行く私たちより留守する者たちのさびしさが思いやられた。
昨年の八月義母に死なれて、父は身辺いっさいのことを自分の手で処理して十一月に出てきて弟たちといっしょに暮すことになったのだが、ようよう半年余り過されただけで、義母の一周忌も待たず骨になって送られることになったのだった。実の母が死んですぐその年に義母が来たのだが、それからざっと二十年の間私たちは大部分旅で暮してきて、父とも親しく半年といっしょに暮した憶えもなく過してきたようなわけで、ようようこれからいっしょに暮せる時が来た、せめて二三年は生きてもらって好きな酒だけでも飲ませたいと思った甲斐もなく、父自身にしても私たちの子供らの上に深い未練を残して行った。