Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ちち
父
金子 ふみ子
Lesen Sie 父 (ちち) von 金子 ふみ子 (かねこふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.107 Zeichen · 21 Bildschirme
そうした時、私は物をいう必要がなかった。父は私の眼差しから私の願いを知って、それをみたしてくれたから。
私に物を食べさせる時も、父は決して迂闊には与えなかった。肉は食べやすいように小さくむしり魚は小骨一つ残さず取りさり、ご飯やお湯は必ず自分の舌で味って見て、熱すぎれば根気よくさましてからくれるのだった。つまり、他の家庭なら母親がしてくれることを、私はみな父によってされていたのである。
今から考えて見て、むろん私の家庭は裕福であったとは思われない。しかし人生に対する私の最初の印象は、決して不快なものではなかった。思うにその頃の私の家庭も、かなり貧しい、欠乏がちの生活をしていたのであろう。ただ、なんとかいう氏族の末流にあたる由緒ある家庭の長男に生れたと信じている私の父が、事実、その頃はまだかなり裕福に暮していた祖父のもとでわがままな若様風に育てられたところから、こうした貧窮の間にもなお、私をその昔のままの気位で育てたのに違いなかったのである。
私の楽しい思い出はしかしこれだけで幕を閉じる。私はやがて、父が若い女を家へつれ込んだ事に気づいた。そしてその女と母とがしょっちゅういさかいをしたり罵りあっているのを見た。