Japanische Klassiker mit Furigana
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ちち
父
金子 ふみ子
Lesen Sie 父 (ちち) von 金子 ふみ子 (かねこふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.107 Zeichen · 21 Bildschirme
そして、店をたたんだ金で、その頃十七、八円もする縮緬の長襦袢や帯や洋傘などを買ってやった。ちょうど私の小さい時に私の世話を一さい自分でしたように、父は叔母のそれらの買い物を一切自分でしてやった。以前、子に向けた心づかいが今は女に向けられたのである。
もう秋だった。父は叔母のために、旅に立つ荷造りをし、私の家にあった一番上等の夜具までもその中に包みこんだ。
母は弟をおぶって私と一緒に叔母を見送った。
「お嫁入り前のあんたを裸にして帰すなんてほんとにすまない、だけど、これも運がわるいんだとあきらめて……」
母はいくたびかいくたびかこんなことを繰返して途々叔母に詫びた。その眼には涙さえ浮んでいた。
私たちは途中まで送って帰って来た。停車場まで送って行った父は夕方になって帰って来た。
ああなんという朗らかな晩だったろう。子ども心にも私はほっと一安心した。静かな、静かな、平和な晩だ!! けれど、けれど、やがて私たちは余りにも静かな生活を余儀なくされなければならなかった。なぜなら、すぐその翌日だったか四、五日たってからだったか、父もまた私たちの家から姿をかくしたからであった。