Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぎゅうにゅうとうま

牛乳と馬

豊島 与志雄

Lesen Sie 牛乳と馬 (ぎゅうにゅうとうま) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.248 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

橋のところで、わたしは休んだ。疲れたわけではないが、牛乳の一升瓶をぶらさげてる、その瓶容れの藁編みの紐が、掌にくい入って痛かった。どうせ急ぐこともない。牧場の前の茶店まで、家から一キロ半ほどの道を、散歩のつもりで往復するのである。九月にはいると、この高原はもうすっかり秋の気分。咲き乱れた女郎花にまじって、色とりどりの秋草が花を開きかけている。避暑客も少くなり、道行く人もあまりない。あたりの空気がすっきりした気持ちだ。

途中に、小川があって、木の橋がかかっていた。その橋から川の中を覗くのが、とても楽しかった。川の水は冷たく、清冽とも言えるほど澄みきって、藻草をそよがせながら、深々と流れている。きれいな魚もいるに違いない。その一匹でも見つけたい、せめて小蝦でも、鮠の子でも、と思って覗くのだけれど、何も見えない。それでも、藻の間にちらちら影がさしたり、小石の上にちらと光が流れたりするのが、面白い。それほどきれいな水だった。

その時も、我を忘れて、橋の欄干から身を乗り出し、川の中を一心に覗いていた。すると、突然、馬の足音が聞えた。駆けてくるのだ。すぐそばに、身近に、ぱかっぱかっと駆けてくる。