Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼたんとうき
牡丹灯記
田中 貢太郎
Lesen Sie 牡丹灯記 (ぼたんとうき) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.377 Zeichen · 15 Bildschirme
彼の眼はその牡丹の花から後ろの女の顔へ行った。女は十七八のしなやかな姿をしていた。彼はうっとりとなっていた。
女は白い歯をちらと見せて喬生の前を通り過ぎた。女は青い上衣を着ていた。喬生は吸い寄せられるようにその後から跟いて行った。彼の眼の前には女の姿が一ぱいになっていた。彼はすこし歩いたところで、足の遅い女に突きあたりそうになった。で、左斜にそれて女を追い越したが、女と親しみがなくなるような気がするので、足を遅くして女の行き過ぎるのを待って歩いた。と、女は振り返って笑顔を見せた。彼は女と自分との隔てがなくなったように思った。
「燈籠を見にいらしたのですか」
「はい、これを連れて見物に参りましたが、他に知った方はないし、ちっとも面白くないから帰るところでございます」
女は無邪気なおっとりした声で言った。
「私は宵からこうしてぶらぶらしているのですが、なんだか燈籠を見る気がしないのです、どうです、私の家は他に家内がいませんから、遠慮する者がありません、すこし休んでいらしては」
「そう、では、失礼ですが、ちょっと休まして戴きましょうか、くたびれて困ってるところでございますから」