Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼたん

牡丹

宮本 百合子

Lesen Sie 牡丹 (ぼたん) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.684 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

「石川さんはいらっしゃいましょうか」

「ええおりますが――どちらさんです」

手を拭き拭き出て見ると、それは女中を連れた飯田の奥さんであった。

「おやまあ失礼いたしました、さあどうぞ」

その声に石川も顔を出した。

「や、大変おそくお出かけでしたな、どちらからかお帰りですか」

飯田の奥さんは大儀そうな風で、黒いレースの肩掛けを脱した。

「この間じゅうはだんだんどうもお世話様でした。私もちょくちょく来たいとは思っても何しろ遠いもんですからね」

茶など勧めたが、飯田の奥さんの顔色がただでなく石川に見えた。

「――いよいよ十八日立前になりますが――いい天気にしたいもんです。……奥さんもどうかおいで下さい、やっぱりああいうときは、御本人がいて下さると下さらないでは張合が違いますからね」

「――実はそのことで急に上った訳なんですがね――十八日に間違いなく立前出来ましょうか」

石川は、どういう意味か分らず、濃やかに蒼白い奥さんの横顔に眼を注いだ。

「こっちの仕度はゆっくりですが……何か御都合の悪いことでも起りましたか」

「本当にこんなことになろうとは夢にも思っていなかったのにねえ」