Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とくしゅぶらくのはんざい

特殊部落の犯罪

豊島 与志雄

Lesen Sie 特殊部落の犯罪 (とくしゅぶらくのはんざい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.455 Zeichen · 15 Bildschirme

Aozora Bunko

一

「久七、お前が好きな物持って来ただよ。」

晴々しい若い声と共に、表の戸ががらりと引開けられた。

とっつきの狭い土間、それから六畳ばかりの室、その室の片隅に、ぼろぼろの布団の上へ、更に二枚の蓆をかけて寝ていたのを、むっくり上半身だけ起してみると、引開けられた四角な明るみから、つるが飛び込んで来た。眼をぱちくりやってると、鼻先へ徳利をつき突けられた。

「何だかあててみろう。」

揺る度びにどぶりどぶりと重い液体の音がして、ぷーんといい香がつっ走った。

「やあ……そうけええ。へへへ。」

笑いくずれた口をそのままに、涎が垂れるほどあんぐり打開いて、震える片手を差出した。

「いけねえよ。燗をしてくれるから待っといで。冷てえのは毒だってよ。」

と云ったがつるは、何の気もなく徳利を敷居際に置いて、土間にぴょんと飛び下りると、向う向きになって竈に火を燃し初めた。

「野田さんとけえ坊ちゃんの草履を持っていくと、久七はちっとも来ねえがどうしただと、旦那さんが聞いていさしたよ。煩って寝てるちゅうと、一人者で困るべえって、その酒をくれさっしただ。おらが時々行って世話あしてるちゅうと、えれえほめられた。