Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

いぬのはじまり

犬のはじまり

宮本 百合子

Lesen Sie 犬のはじまり (いぬのはじまり) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.886 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

人間が人間らしくないのは辛いように、犬も犬でなくなるのは悲しかろう。私は、下町の心に自然な暢やかさがない者達が、いじらしい程怜悧な犬をつかまえて、ちんちんしろだの、おあずけだの、おまわりだのさせて居るのを見ると、まるで心持がわるい。主人と犬との間にひとりでに生じる感情の疎通で、いつとなく互に要求が解るだけでよい。故意と仕込むのは、植木に盆栽と云う変種を作って悦ぶ人間のわるい小細工としか思われない。世にも胸のわるいのは、欧州婦人がおもちゃにする、小さな、ひよわい、骸骨に手入れの届いた鞣皮を張りつけたような Pocket dog 或は Sleeve dog だ。私は、悠々した、相当大きい、誠実で熱烈なところのある毛の厚い犬を好む。Breed をやかましくは考えない。ありふれた、そして犬らしい犬が欲しいのであった。

ところが今日、思いがけないことが起った。午後三時頃、私は一仕事しまって、おそい昼食を独りでとって居た。玄関の格子が開く音がした。そして、良人が帰って来たらしい。出迎えた女中が、

「まあ、旦那様」

と、驚きの声をあげ、やがて笑い乍ら、

「何でございましょう!」