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Japanische Klassiker mit Furigana

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いちろうじん

犬田卯短編集二

犬田 卯

Lesen Sie 犬田卯短編集二 (いちろうじん) von 犬田 卯 (いぬたしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.383 Zeichen · 103 Bildschirme

Aozora Bunko

などとあてつけがましく叫んで、小遣銭かせぎの牛車をひき出して行ったのも彼女にとって癪でならなかった。

「俺も花見だ、俺ら朝っぱらからだ」と追いかけるようにいうと、

「また蟇口なくせ、失くした上に占師に見てもらって三円も損しろ。」

お通は地団太踏んで「失くすとも、この家の身上ぎり失くして、千円がどこも占いやって、借金こしらえてやらア。」

くさくさして仕方がなかった。本当にS川土手へ行ってやろうかと考えたが、もう母の財布にもそんなに金は入っていないことを彼女は知っていた。もっとも兄貴は相当持っているに相違なかった。豚を売った金だってまだそっくりしているはずである。今朝も、「失くしたものは、はア、いくら何といったって仕様ねえんだから、野良着だけは和一が買って来たら……」という母親に対して、「ばかな、俺ら今年は裸体で田植だ」なんて罵ったくせに、あとでは二反買うのか一反でいいのかなどと聞いていたくらいであったが、でも、お通へは一銭だって出すまいとするのである。「そんなけちん坊なら誰が……たといやろうといったって貰ってやるもんか。」

お通は麦さく切りに出かけた。