Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうじんはわらう
狂人は笑う
夢野 久作
Lesen Sie 狂人は笑う (きょうじんはわらう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.853 Zeichen · 26 Bildschirme
詳しい事は判然りませんが、その遊神湖という湖の周囲には、歴史以前に崑崙国といって、素敵に文化の進んだ一つの王国があったそうです。ところが、その国民は極端に平和的な趣味を愛好した結果、崑崙茶の風味に耽溺し過ぎたので、スッカリ気力を喪って野蛮人に亡ぼされて終ったものだそうです。今でもその廃墟が処々の山蔭や、湖の底からニョキニョキと頭を出しているそうですが、その周囲には天然の森が茂り、高山風の花畠が展開して、珍らしい鳥や見慣れぬ蝶が、長閑に舞ったり歌ったりしている。底の底まで澄み切った青空と湖の中間には、新鮮な太陽がキラリキラリと回転している……といったような絵にも筆にもつくせない光景が到る処に展開している。その中でも一番眺望のいい処に、各地方から集まった隊商たちは、先を争って天幕を張りまわすと、手に手にお香を焚いたり、神符を焼いたりして崑崙山神の冥護を祈ると同時に、盛大なお茶祭を催して、滅亡びた崑崙王国の万霊を慰めるのだそうですが、これは要するに、迷信深い支那人の気休めでしかないと同時に、お茶の出来る間の退屈凌ぎに過ぎないのでしょう。
一方に馬から離れた茶摘男たちは、一休みする間もなく各自に、長い長い綱を附けた猿を肩の上に乗せて、お茶摘みに出かけるのです。