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Japanische Klassiker mit Furigana

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きつねび

狐火

豊島 与志雄

Lesen Sie 狐火 (きつねび) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.594 Zeichen · 11 Bildschirme

Aozora Bunko

一

馬方の三吉というよりも、のっぽの三公という方が分り易かった。それほど彼は背が高かった。背が高いばかりでなく、肩幅も広く、筋骨も逞ましく、力も強く、寧ろ大男というべきだったが、それに似合わず、どこか子供らしい無邪気な気質を持っていたので、のっぽの三公という綽名がよく人柄についていた。底知れぬ酒飲みで、飲むと気嫌がよくなるということも、如何にものっぽらしかった。

その日のっぽの三公は、可なり酒を飲んでいい気持になっていた。索麪の箱を二つ積んだばかりの空車にも等しいのを、馬の気儘に引かせながら、自分は馬車の上に乗っかって、酔心地をがらがら揺られてると、ついうっとりとした気持になっていった。

ぼんやりした薄暮の明るみが、山裾や野の上に淀んでいた。遠く打続いた麦畑の青や丘々の新緑が、ひっそりと静まり返って、街道の淋しい松の梢に小鳥がちちと鳴いていた。

明日も天気らしいな。

――西は……追分東は……関所……浅間山から……。

子供の時から歌い覚えたのを口ずさんで、それから彼は黙り込んでしまった。丘の袂を廻ると、茫とした山影に呑み込まれた。

だらだらの坂を下りきったら、平兵衛の立場茶屋で提灯を……と、そんなことをぼんやり思いついた時、彼の頭の中に、平兵衛の孫の平吉の顔が、可愛くにこにこっと映った。