Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとりご
独り碁
中 勘助
Lesen Sie 独り碁 (ひとりご) von 中 勘助 (なかかんすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.863 Zeichen · 4 Bildschirme
随筆「孟宗の蔭」はここで出来たものである。そこに引籠った私は山門を境に世間と出来るだけ交渉を断ち、次第によっては僧籍にでも入りかねない気もちだったけれど終にそこまでにはならなかった。それほど私は俗界の紛紛に悩まされたのだった。隠棲の隠棲らしさはむしろかえって煩悩熾盛の若い時にこそある。そこには俗界の生活とのあいだにはっきりと明暗黒白のけじめが出来る。今のように七十も幾つかこしてはどこに何をしていてもそのままが既に半ば隠棲的である。
さて独り碁の話に。そういう隠遁孤独の生活のなかで私は時たま碁を置いて楽しむことがあった。殊に水晶のごとく冷たく冴えた冬が独り碁の好季節である。碁は仙中の俗というが、それは素人がいかに単純に娯楽としてやるにしても盤上の利害と勝負を無視することはできないからであろう。しかし独り碁はその「俗」を脱却させる。一手一手の得失と終局の勝負を忘れてしまっては碁が成立しないけれども古碁名局を置くとなればそれは自分の得失ではなく、敵手との勝負でもない。第三者として見る盤上の石の配列の利害であり、勝敗であるに過ぎない。名誉と家禄を賭けた血の出るような争い碁も興ある烏鷺の戦となる。