Japanische Klassiker mit Furigana
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せまいいちそくめん
狭い一側面
宮本 百合子
Lesen Sie 狭い一側面 (せまいいちそくめん) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.348 Zeichen · 5 Bildschirme
氏自身、芸術鑑賞上一見識を持ってい、芸術愛好者としての純粋な亢奮が伴うのであったらしい。氏が、ジァーナリストとして他と違っていた大きな点はここにもあった。よい芸術品を得たい熱情が、編輯者としての利害と結びついた形であった。
瀧田氏に会うのは、一年に僅か数度であったが、その時分、氏はいつも、奥ゆきのたっぷりした俥に乗って来られた。羽織、袴であった。そして、早いうちから、まだ夏になりきらないうちから、勢よく扇を使い使い話す。田中王堂氏の原稿は、書き入れ、書きなおしで御本人さえ一寸困るようだとか、多分藤村氏であった、有名な遅筆だが、(鵠沼の東屋ででもあったのだろう、)おくれて困るので出先まで追っかけて、庭越しに向い合わせの座敷をとって待つことにした。さて藤村氏の方はどんな工合に行っているかと硝子障子のところから見ると、一字書いては煙草を吹かし、考え、考え、やっと一字書いたが、消す。煙草、煙草、また一字、という風で、自分まで実に辛かったとか。そんな断片的な話をよくされた。二十前の小娘を相手では瀧田氏もその位の話題しか見出せなかったのだろう。丁度、田村俊子氏の生活が動揺し始めた頃であったと見え、非常に疲労の現れた作品を送ってよこしたということも聞いた。