Japanische Klassiker mit Furigana
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おおかみのかい
狼の怪
田中 貢太郎
Lesen Sie 狼の怪 (おおかみのかい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.063 Zeichen · 10 Bildschirme
それに自個のとってこない鳥獣の肉がたくさんあることがあるので、ついすると、二人で猟にでも往くのではないかと思ったが、べつに弓矢らしい物を構えているようにも思われなかった。章はある日、またその不審を質そうとした。
「どこかへ往ってるでしょう、隠さなくてもいいじゃありませんか」
「ほんとうは、この前方の山に、お嬢さんの叔母さんになる方が隠れておりますから、そこへ遊びに往きます」
章の疑はやっと解けた。疑が解けるとともに、むこうの山へ往き来する路に、いつも狼の出没する危険を思いだした。
「彼処には、狼がおるじゃありませんか、あぶないですよ、今度往く時には、私が送ってあげましょう」
「いや、二人は慣れておりますから大丈夫ですよ、狼が来ても巧く逃げますから」
「いや、それはあぶない、いくら慣れておっても、女ではいつどんな目に遭うか判りません」
章は自個の経験している狼の恐ろしいことを懇々と説き聞かせた。しかし、二人はそれを用いなかった。章が狩に出かけて往くと、その後でやはり二人で出かけて往った。
章は二人が自分の言葉を用いないので、それを言うことは止してしまって、その狼を自分の手でなくする工夫をした。