Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうしつき
狼疾記
Lesen Sie 狼疾記 (ろうしつき) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.540 Zeichen · 47 Bildschirme
俺はその敵を見たことはないが、伝説はそれについて語っており、俺も確かにその存在を信じる。彼らは土地の内部に深く棲むものである。伝説でさえも彼らの形状を画くことができない。彼らの犠牲に供せられるものたちも、ほとんど彼らを見ることなしに斃れるのだ。彼らは来る。彼らの爪の音を(その爪の音こそ彼らの本体なのだ)、君は、君の真下の大地の中に聞く。そしてその時には既に君は失われているのだ。自分の家にいるからとて安心している訳に行かない。むしろ、君は彼らの棲家にいるようなものだ。」ほとんど宿命論的な恐怖に俺は追込まれている。熱病患者を襲う夢魔のようなものが、この窖に棲む小動物の恐怖不安を通してもやもやと漂っている。この作者はいつもこんな奇体な小説ばかり書く。読んで行くうちに、夢の中で正体の分らないもののために脅されているような気持がどうしても附纏ってくるのである。
その時、入口の扉にノックの音がして顔を出したのは、事務のM氏であった。はいって来ると、「手紙が来ていましたから」と言って卓子の上に封筒を置いた。事務所とこの標本室とではかなり隔たっているから、わざわざ持って来てくれたのは、話相手を求めに来たに違いない。