Japanische Klassiker mit Furigana
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ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.020 Zeichen · 131 Bildschirme
とばかり、ニヤニヤしながら勝手口へ廻って行って、筍の皮包の鶏の肉をアルミニュームの鍋へ移すと、瓦斯の火を借りて水煮きにした。そして「済んまへんなあ」を二十遍ばかりも繰り返しながら、
「いろいろ無心云いまっけど、今一つ聴いとくなはれしまへんか。」
と、自転車に附けるラムプの借用を申し込んだが、「これ持って行きなはれ」と主人が奥から出して来てくれたのは、「魚崎町三好屋」と云う文字のある、何処かの仕出屋の古提灯であった。
「ほう、えらい骨董物だんなあ。」
「それやったら大事おまへん。ついでの時に返しとくなはれ。」
庄造は、まだおもてが薄明るいので、その提灯を腰に挿して出かけたが、阪急の六甲の停留所前、「六甲登山口」と記した大きな標柱の立っている所まで来て、自転車を角の休み茶屋に預けて、そこから二三丁上にある目的の家の方へ、少し急なだらだら路を登って行った。そして家の北側の、裏口の方へ廻って、空地の中へ這入り込むと、二三尺の高さに草がぼうぼうと生えている一とかたまりの叢のかげにしゃがんで、息を殺した。
ここでさっきのアンパンを咬りながら、二時間の間辛抱してみよう、そのうちにリリーが出て来てくれたら、お土産の鶏の肉を与えて、久しぶりに肩へ飛び着かせたり、口の端を舐めさせたり、楽しいいちゃつき合いをしようと、そう云う積りなので